お知らせ
がん看護専門看護師38単位教育課程の認定を受けました
専門看護師制度は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して質の高い看護を効率よく提供するため、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師(Certified Nurse Specialist;CNS)を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し、併せて看護学の向上を図ることを目的としています。
これまでの日本の専門看護師は26単位を基準にして教育が行われてきましたが、平成24年から38単位を基準にして、ケアとキュアを融合した高度な看護実践能力を持つより高い水準の専門看護師の育成制度が始まりました。本学の教育課程は平成22年から26単位の教育課程として認定を受け,平成26年3月現在まで7名が修了し,科目履修生1名を含む4名ががん看護CNSの認定を受けました。そして、今回カリキュラムを改定して、平成25年12月にあらためて38単位の教育課程として認定を受けました。これらのカリキュラムは、平成26年4月から実施されます。
東北地方のがん医療均てん化の促進には,がんチーム医療の一翼を担うがん看護専門看護師の増員が必須です。本学では東北次世代がんプロ養成プランによる教育体制を一層充実させ,より高水準の専門看護師を育成し、地域に送り出せるよう努力しています。
がん看護専門看護師になるための教育と科目の履修について
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻看護学コースは,高度な専門性を有し,指導的立場に立つ看護師等,高度な保健医療福祉システムの確立若しくは総合的な問題解決に貢献することができる行政機関等の管理者又は看護に関する科学的根拠の確立若しくは優れた医療専門職業人養成に貢献することができる研究者若しくは教育者の育成を目的として掲げています(東北大学大学院医学系研究科規程 第2条の2)。
これを実現するために,看護学コースの博士前期課程は,専門看護師(CNS)の養成をめざし,これに対応した教育課程を設置しています。がん看護専門看護師教育課程は,「がん患者の身体的・精神的・社会的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護が提供できる」専門看護師の育成をめざしたカリキュラムを編成しています。専門分野科目は、がん看護学分野、緩和ケア看護学分野、成人看護学分野が担当しています。
1.専門看護師の資格制度
専門看護師とは,複雑で解決困難な看護問題を持つ個人,家族及び集団に対して,水準の高い看護ケアを効率よく提供するための,特定の専門看護分野の知識及び技術を深めた者をいいます。
日本国の保健師,助産師および看護師のいずれかの免許を有し,看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得しており,実務研修が通算5年以上(そのうち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること)を持つ者が,日本看護協会の専門看護師認定審査に合格することで資格を得ることができます。
詳細は日本看護協会ホームページで参照できます。 URL:http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/senmon/index.html
2.専門看護師の機能
専門看護師は,次の実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つの役割を果たすことにより,保健医療福祉や看護学の発展に貢献します。
- 専門看護分野において,個人,家族及び集団に対して卓越した看護を実践する(実践)。
- 専門看護分野において,看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う(相談)。
- 専門看護分野において,必要なケアが円滑に行われるために,保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う(調整)。
- 専門看護分野において,個人,家族及び集団の権利を守るために,倫理的な問題や葛藤の解決をはかる(倫理調整)。
- 専門看護分野において,看護者に対しケアを向上させるため教育的機能を果たす(教育)。
- 専門看護分野において,専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う(研究)。
3.本学のがん看護専門看護師教育と受験資格に必要な科目の履修
専門看護師の受験には,共通科目Aに相当する科目8単位以上と共通科目Bに相当する科目6単位以上および専門分野科目24単位以上(実習10単位以上を含む),合計38単位以上の履修が必要である。以下に示す科目を履修することでがん看護専門看護師の受験資格を得ることができる。
1)共通科目
専門看護師受験のためには,以下の科目から選択して,修了までに共通科目Aに相当する科目8単位以上と共通科目Bに相当する科目6単位以上の合計14単位以上を取得する。
基準の科目名 | 基準の共通科目 | 本学大学院の該当科目 | 本学大学院の履修単位 |
---|---|---|---|
看護教育論 | 共通科目A | 医療教育論 | 1 |
看護理論 | 共通科目A | 理論看護学アプローチ | 1 |
コンサルテーション論 | 共通科目A | コンサルテーション論 | 2 |
看護政策論 | 共通科目A | 医療・看護政策論 | 2 |
看護研究 | 共通科目A | 看護学研究方法論 | 2 |
看護倫理 | 共通科目A | 看護倫理 | 2 |
フィジカルアセスメント | 共通科目B | フィジカルアセスメント | 2 |
病態生理学 | 共通科目B | 病態生理学 | 2 |
臨床薬理学 | 共通科目B | 臨床薬理学 | 2 |
2)専門分野科目
専門看護師受験のためには,以下の科目から選択して,修了までに専攻分野共通科目6単位以上、専攻分野専門科目8単位以上、実習科目10単位の合計24単位以上を取得する。
科目区分 | 授 業 科 目 | 1年次 履修単位 |
2年次 履修単位 |
合計 |
---|---|---|---|---|
専攻分野共通科目 | がん科学 | 2 | 8 | |
がん診療トレーニング | 2 | |||
がん看護学特論Ⅰ | 2 | |||
がん看護学特論Ⅱ | 2 | |||
専攻分野専門科目 | 緩和ケア看護学特論Ⅰ | 2 | 9 | |
緩和ケア看護学特論Ⅱ | 2 | |||
がん看護学セミナーⅠ | 2 | |||
がん看護学セミナーⅡI | 2 | |||
緩和ケアトレーニング | 1 | |||
実習科目 | がん看護専門看護学実習Ⅰ | 2 | 10 | |
がん看護専門看護学実習Ⅱ | 6 | |||
がん看護専門看護学実習Ⅲ | 2 | |||
特別研究科目 | 論文研究 | 10 | 10 | |
計 | 17 | 20 | 37 |
がん看護では,共通科目14単位以上、専門分野科目24単位以上、論文研究10単位とあわせて48単位以上履修する必要がある。
2014年3月28日
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻がん看護学分野教授
佐藤冨美子
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